アーユルヴェーダとリハビリについて


ハタイクリニック看護士:後藤寿美子

「もっと早く知りたかった!!!」

「もっと早く知りたかった!!!」 アーユルヴェーダと出会い、私はそう思った。 西洋医学の分野でお世話になっていたが、早い段階で西洋医学の限界を感じていた。もちろん西洋医学は素晴らしい。急性期の人命救助や移植手術、その他手術が必要な場合にその力を発揮する。しかし、主に内科的疾患や原因不明の疾患には強力な薬剤を使うしかない。目を伏せたくなるような厳しい現状をいくつも目の当たりにしてきた。例えば、リウマチは一生付き合っていかなければならない原因不明の疾患である。コントロールが上手に行かない場合、手術が必要となる場合がある。手術を行っても痛みがなくなるわけではない。薬剤はどんどん強力なものに変えられる。次第に関節硬縮も強くなる。動けなくなり車椅子の生活を余儀なくされる。アーユルヴェーダには、リウマチの原因が記されている。アーユルヴェーダには叡智がある。アーユルヴェーダにももちろん限界はある。しかし、西洋医学にも劣らず、もしかすると西洋医学以上に科学的とも思われる根拠を持っている。インド医学・アーユルヴェーダに私は驚愕した。

脳神経外科病棟での日々の看護の中でリハビリは欠かせない。

脳神経外科病棟での日々の看護の中でリハビリは欠かせない。 脳神経障害による様々な苦痛は計り知れない。まずは身体的要因として麻痺による関節の硬縮・弛緩による患者の苦痛があげられる。時には、意識障害・痴呆症状・言語障害・知覚障害も発生する。そして入浴、排泄、食事、着替えなど生活の一つ一つに困難を生じる。それらの苦痛に加え、今まで当たり前のように動いていた体が動かなくなるという戸惑いややり場のない怒り・悲しみ、疾病受容の困難などの精神的ストレスが伴う。患者を支える家族の負担も相当である。家族の協力が得られない場合は、患者にとってもっと厳しい。そして金銭的負担。幾つもの苦痛が重なりあっている。

オイルマッサージによる関節へのアプローチは素晴らしい

オイルマッサージによる関節へのアプローチは素晴らしい。脳血管障害後に破行がみられる患者が、来院時に比べ施術後にスムーズになっているケースがみられた。患者本人も動きやすいという実感がある。高血圧の合併に対しシローダーラも行う。患者本人もシローダーラが大好きで、施術後は大変リラックスし、くすみが取れ頭の熱もなくなり赤ら顔も白くなった。高血圧という原因疾患に対するアプローチも行うことが出来る。私は、もっと早い段階、関節硬縮が進んでしまう前の段階でオイルマッサージを取り入れることが出来たならば、どれだけ多くの患者の苦痛が軽減されることだろうと感じている。関節に対してのアプローチとともにオイルマッサージの何ともいえない心地よさは度重なるストレス精神面へのアプローチにもなると思われる。また、発生学では外胚葉から脳も皮膚も発生する。皮膚刺激は障害を受けた脳にとっても良い刺激となると考えられる。そしてアーユルヴェーダの哲学が人の心を救うことがあると思う。

もっと早くにアーユルヴェーダに出会っていれば……

看護師にとっても患者の苦しむ姿を見る精神的苦痛・実際の看護の身体的苦痛がある。患者の疾病回復・笑顔は何よりの励みである。そして看護する側が健康でなければ、様々な障害が発生する。私は、当時病棟勤務をさせていただいている間にアーユルヴェーダに出会っていれば、もう少し長く楽しく働くことが出来たのではないかとアーユルヴェーダの勉強が深まるにつれて日々感じている。自分自身についても、酷い頸部のコリと知覚麻痺が、ガンドゥーシャ(薬用煎じ液によるうがい)により軽減したような気がする。首の可動域も広がった。追跡したい事柄だ。

また、患者が自立できないことによる入院期間の延長は医療財政を圧迫する。その結果、結局は保険料の引き上げとなり自分たちに返ってくる。そこにインド哲学のダルマ(法)を感じられずにはいられない。宇宙全体から見たダルマ(法)として、やるべきことをやることの大切さを感じる。

「アーユルヴェーダの目的は、健康な人の健康を護り、病人の病気を鎮静することである」と

「アーユルヴェーダの目的は、健康な人の健康を護り、病人の病気を鎮静することである」とチャラカ総論30章と記されている。アーユルヴェーダは、健康な人も対象であり予防医学の膨大な知識がある。私は生きるのであれば健康がいいなと単純に思っている。アーユルヴェーダは素晴らしい。

アーユルヴェーダは医学である。私が勤務しているハタイクリニックでは、ハタイ院長が西洋医学と東洋医学・アーユルヴェーダの統合医療を目指してきた。今それが必要とされていると感じる。患者のために、そして、患者がよくなれば医療従事者にとっても素晴らしいことであると思う。正しい治療を行うには正しい知識そして経験が必須である。一人では出来ることではない。しかし、みんなが力を合わせれば出来ないことはない。ダヌヴァンタリ神(アーユルヴェーダの神)は力をお貸しくださると思う。