脈診について

「どうしてこんなことまでわかるの?!」 はじめてサダナンダ先生の健康相談ワークショップに参加される方からよく聞く驚きの言葉です。アーユルヴェーダの医師は、視診、脈診、問診、触診などを通じて体内のドーシャの動きを把握します。

ある歯科医の女性は、健康相談の中で「超音波をとってみては?」とすすめられ、定期検診でも見逃されていた、小さな子宮筋腫を見つけることが出来ました。

ある看護師さんは、甲状腺の腫れを調べるようにすすめられ、職場のお医者さん達に、よく脈だけで見つけたもんだね、と驚かれたといいます。

それは、体の中にあるドーシャという3つのエネルギーのバランスを見ることで可能になります。 肉体だけではありません。アーユルヴェーダでは、人間の心と体は同じものから作られていると考えます。それはちょうど、一枚の紙を二枚、三枚と、どこまで薄くはいでも、表と裏があるのと同じ。

心と体は違うものに見えるけれども、それは同じものの表現の違いに他ならないのです。 ですから、脈には心の情報もあらわれます。  心の中に抱えている不安、怒り、寂しさ、後悔…こうした感情は脈に刻まれ、あなたの体の中を経巡って、不必要に体を傷つけています。

 サダナンダ先生は、こうしたものを見つけるだけでなく、アーユルヴェーダの知恵で、どのように乗り切ればいいのか、をとても適確に教えてくれます。

 それは、簡単な食生活の改善であったり、家でもできるマッサージであったり、誰かと心を開いて話す方法だったりします。こうしたアーユルヴェーダの知恵を体験し、実践するための方法を教わることが、この健康相談の目的です。脈診は自分を知るための、ほんの入り口にしかすぎません。誰もが幸せに生きるためにあるのがアーユルヴェーダ。そのために必要なことを何でもお教え致します。

脈診の技を伝える

アーユルヴェーダの古典書の中で、唯一、脈診のやりかたについて触れているのは、18世紀にマハラシュトラ州で書かれたヨーガラトナーカラという書物です。

ヨーガラトナーカラという書物でには、ヴァータの脈は蛇のようであり、ピッタの脈は蛙のように飛び跳ねる動きをし、カパの脈は白鳥のようにゆっくり動く、などと書かれていますが、記述はわずか40行ほど。

そして「脈に関する知識は宝石に関する知識と同じように実践を通してのみ得られる」と書いてありました。

宝石の真贋を見極めるのと同じように、数をたくさん見て、輝きや質感を勘で覚えていくしかないのです。 では、その「経験でしか得られない知識」をどのように伝えていくのかといえば、それも実践の中にありました。

私がサラデシュムク家に出入りし始めた頃、まだ中学生だったスクマール先生は、毎朝お父さんの診察室の片隅に立って、2時間くらいジッと患者さんとのやりとりを観察する訓練をさせられていました。

今では、同じ診察机に座り、ひとりの患者さんをお父さんと二人で見ることによって、所見を交換しながら教わっていくのです。

赤ちゃんが患者さんの時には、顔の上で指をパチパチと鳴らして赤ちゃんの気をそらしながら脈をとり、同時に指を左右に動かして、赤ちゃんの視覚や聴覚に異常がないかを調べます。

その手つきはお父さんソックリで、思わず笑いをかみ殺してしまいました。

そして、今では脈診の所見もお父さんと同じように言えるようになり、サラデシュムク家の秘伝ともいえる、心に関する脈を読む、マナサナディを教わっていて、その腕前にも舌を巻きます。

こうして経験を重ねながら、どんな種類の脈があるのかという知識をお父さんから学んでいくのですが、その知識はとても膨大なものらしく、5年半の大学教育で収まるものではないようです。

スクマール先生も時々、患者さんの脈をみてその状態をピッタリと言い当てたあとに「これは教わったことがある脈だけれど、はじめて実際の患者さんにあったよ!とても珍しいケースなんだ」と、少し興奮気味に話してくれることがあります。

人間の数だけ、脈の種類はあると言っても過言ではなく、人体の知識は限りなく広く、深い。それを知る術を与えてくださった古代の医聖達は本当に偉大です。

ヨーガラトナーカラを書いた著者は、著作に自分の名前もつけず、文中にも、一切自分の出自に繋がることを書きませんでした。

こういう無私の心でしか、到達できないことなんだと思います。

脈をみる技術は、超能力ではなくて科学。だから確実に習得すれば同じように読むことが出来る。伝統の中で、父から子へと受け継がれる奇跡の古代科学なのです。

ともあれ、こうして伝えられた技術を体験できるスクマール先生のマンツーマン健康相談ワークショップは、来日の際に是非体験してください。

2024年4月にスクマール先生の健康相談WSを開催します

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※ サダナンダ 先生は、インドでも希有な能力をもち、世界中から招待されているのに、とても謙虚な人格者です。 そのお人柄にはファンも多く、インド最大のタタ財閥のラタン会長なども、先生達のプロジェクトに支援を惜しまぬことで知られています。