おどろくべき例を最後にご紹介しましょう。上の写真、右側の方はリジュータ=クシャルカル(Rijuta Kushalkar)さん、43才。とても珍しい胸腺のガンでした。 病名を詳しく聞くとcancer of Thymus gland corncal Thymoma stage III Aと、スラスラーっと書いてくれました。それもそのはず、彼女は植物学の博士号をもつ科学者だったのです。

腺の部分にいきなり7.6cmの巨大な腫瘍が出現!

2006年、彼女は全く何の症状もありませんでしたが、定期的な健康診断でX線をとると、胸腺の部分にいきなり7.6cmの巨大な腫瘍が映りました。 手術であけてみると、それは、肺と心臓を結ぶ大きな血管を巻き込んでいたために、物理的に取ることは出来ないとわかり、成長が早いガンなので余命は半年から1年、と言われたのだそうです。化学療法は効果的とは言えないとわかっていましたが、他に手がないので、すごく強い薬を6サイクル続けることにしました。

薬アレルギーのため、抗癌剤に耐えられないはずが……

しかし、彼女は薬に対して強いアレルギーがありました。以前、流産のためにホルモン治療をしましたが、量が多すぎて副作用が出てしまい、それ以来、どんなに微量でもケミカルなものに対しては、アレルギーが出るようになってしまったのです。ですから、抗癌剤なんてとても耐えられるわけがない。と、心配した妹さん(アーユルヴェーダの医師として勉強中)が紹介して、このB.S.D.T.のガンプロジェクトに参加して、薬の強さに耐えられるような処方をしてもらったのだそうです。

そのせいか「3日で1サイクル」という非常に早いペースで抗癌剤を投与しても、彼女は吐き気もないし、食欲もある、という良好な状態でいることが出来ました。殆どの人が抗癌剤を与えられている病院だったので、他の人はみな食欲を無くしてしまうそうで「この病院で、あなたが唯一普通食を食べている人よ」と、看護師さんに言われたのだそうです。

放射線治療をはじめたが、腫瘍が大きくなってきた

その後、化学療法で少しは縮んだものの、残りをなんとかしようということで放射線をかけはじめたら、縮むどころか、また少しづつジワジワと腫瘍が大きくなってきました。 西洋医学のお医者さん達は、すでに一生分の放射線を与えたからこれ以上増やすことは出来ないし、化学療法も限度に達している。だから、もうやれることがない、と言ったそうです。

アーユルヴェーダの治療だけを受ける

そこで彼女は、アーユルヴェーダの治療だけを受けることになりました。その時のことを彼女はこう話してくれました。「Dr,サダナンダは決して、ガンを治せるとは言わなかったんです。でも、その謙虚な姿勢がかえって私達の胸に深く響きました。私も夫も博士号をもつ科学者ですから、研究というのもは、常に100%ではないということはよくわかっています。それでも、もしあなたがちゃんとやればあなたの体自身が腫瘍をケアしてくれるだろう。と、彼は言ったんです。信じてまかせて見ようと思いました。」こうして彼女はアーユルヴェーダの薬だけに切り替え、心をコントロールするために瞑想などもとりいれて、ガンに立ち向かいました。その結果、現在腫瘍は1.3cmまで小さくなりました。

リジュータさんの治療経過

2006年2月3日:7.8cm

7.8cmの腫瘍を発見し、手術で開胸するが複雑に血管を巻き込んでいるため、ほんの少ししか切除することが出来なかった。

2006年4月11日:6.8cm x5.8cm
2006年6月16日:3.4cmx 3.2 cm

化学療法中 3.4cmx 3.2 cm→アーユルヴェーダによるサポートを開始

2006年7月19日:2.6×2.7cm

化学療法後 2.6×2.7cm

2007年1月27日:2.7×3.0cm

放射線療法後 2.7×3.0cm

2008年6月6日 :2.8×4.0cm

経過観察後 2.8×4.0cm.経過観察をしたけれども、少し大きくなっていたので、もう出来ることはないから、ということでアーユルヴェーダの治療のみになった

2009年1月6日:1.3cm

アーユルヴェーダによる治療のみに

アーユルヴェーダの浄化療法であるパンチャカルマ

2009年からは2回に渡ってアーユルヴェーダの浄化療法である、パンチャカルマも受けています。1回は、胸の痛みを取るためです。

放射線の照射により、彼女の心臓を覆う膜が肥厚して硬くなってしまい、ちょっとした運動や感情の起伏などに対応できず、胸が痛くなるという副作用がおきていました。最初の一週間だけは、炎症を鎮めるために西洋医から出されたステロイド使い、あとはB.S.D.T.の病院に入院して全身のマッサージなどと一緒に、胸の上に小麦粉で土手を築き、中に薬草オイルをいれて浸透させていくフリダヤ・バスティという施術を受けました。その結果、今も少し激しい運動などをすると、軽く症状が出ることはありますが、普通の生活を送るのには全く支障がないくらいに回復しました。

 もう一回のパンチャカルマは寄生虫を除去するためです。アーユルヴェーダではお腹の中に粘液や毒素を出す寄生虫がいることはガンだけでなく、多くの病気の原因になると考えています。ですから、こうした原因を取り除く治療も必要なのです。原因にアプローチすることをアーユルヴェーダではもっとも重要と考えます。そうでなければ、せっかく治っても、また再発してしまうからです。

平穏な暮らしを取り戻した

 こうして、ご主人と9才の息子さんとの平穏な暮らしを取り戻し、学究生活にもどったリジュータさんは、自分の体験を他の人のために役立てて欲しいと、B.S.D.T.のガンプロジェクト・キャンプがあると、必ずやってきて、他の人達に自分の経験を話し、患者さん達の苦しみをシェアして、励ます役目をボランティアで続けてきました。先のケルカルさんもそうですが、「どんなに仕事が忙しくても、それは横において、このキャンプに来ることを最優先にしているよ!」と言います。何が彼らをそんな気持ちにさせているのか?と聞くと、「ここでは僕らを患者として扱わないんだ。どのドクターも僕らを家族や友人のように扱って親身に励ましたり、慰めたりしてくれる。だから僕らも他の人達にそういう風に役に立ちたいのさ」と、言いました。どの患者さんも、なじみのドクター達と楽しそうな顔で写っているでしょう?この笑顔が、その絆の深さを裏付けていると思いました。

どん底の状態から、今の幸せを取り戻したリジュータさんに、他のガン患者さん達に伝えたいメッセージ

 最後に、どん底の状態から、今の幸せを取り戻したリジュータさんに、他のガン患者さん達に伝えたいメッセージを聞いてみました。「ガンというモンスターは、私達の心と体が作り出したものです。ですから、まず自分の心をコントロールして、生活法や食事法などを変えていくことができれば、体も変わっていくはずです。もし、何か聞きたいことがあれば、英語であれば必ずお答えします。私の体験を役立てて、あなたも元気になって下さい。」

サダナンダ先生の健康相談

彼女だけではなく、このキャンプで働く人達全員に、誰かの役に立ちたいという気持ちが溢れていました。もし、このプロジェクトに登録したいと思う方がいらっしゃいましたら、3月に来日されるサダナンダ先生の健康相談をお受け下さい。(申し込み時にガンであることなどを備考欄にお書き下さい。)

医師の皆さんの参加を待っています。

また、このプロジェクトに参加してみたいと思われる医師の方をお待ちしています。日本の医療とインドのアーユルヴェーダを統合することが出来れば、患者さん達によりよい明日をお届けできると思います。

最後に医学の神ダヌワンタリ神と、このプロジェクトの創始者 P.K.サラデシュムク・マハラジ(左)、この計画を支持してくれた、パドマブーシャン賞にも輝いた名医シュリラムジー・シャルマ氏(右)に感謝を捧げてレポートを終わります。

アーユルヴェーダで癌(ガン、がん)と闘う!のシリーズ目次

ガンプロジェクト主催者HP  B.S.T.D.(インド)

B.S.D.T.のガン・プロジェクトHP(英文)

インドの全国紙に癌プロジェクトが掲載されました

(翻訳)インディア・トゥディ(全国誌178万部)2011年2月28日号掲載。 ………研究から、アーユルヴェーダの治療は免疫力と癌患者のQOLを向上させるのに効果的であることが証明された。癌を完治するとまではいえないとしても、あきらかに、アーユルヴェーダの治療は、化学療法や、放射線療法による被曝の副作用を最小化することに顕著な効果があることが判明したのである………