ワゴリ通信7・8 〜パンチャカルマ体験記〜

ワゴリ通信も最終回です。

次回のパンチャカルマコースは、2020年2月1日〜。詳細はこちら

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【ワゴリ通信7】

2019.9.15

トリートメントも残りわずかとなってきましたので、これまで受けたトリートメントの内容を記録してみます。全身をオイルマッサージするスネーハナ、その後スチームで発汗させるスベーダナはほぼ毎日行われていて、その他にどんな治療が追加されるかは患者さん次第です。最初の3日間はmatra bastiというオイルを使った浣腸で、これは寄生虫などがいる場合に効果があります。最後に検便をして検査にまわします。

4日目からはniruha basti(ビックバスティ)とanuvasana basti(スモールバスティ)の組み合わせが入りました。どちらも浣腸ですが、ビッグバスティの場合は大量の煎じ液による浄化が目的で、スモールバスティはオイルを使った滋養が目的です。ドクターの回診で確認されるので、バスティの後は特に何回おトイレに行ったか、便が出たのかオイルだけが出たのかという結果を患者は記録しておきます。浄化の期間が終わってからはburhan basti(ミルクバスティ)でした。これは前回も書いたように腸から栄養を補給し骨まで滋養のための浣腸です。

私の他にも最後の7日間ミルクバスティを受けていた患者さんがいて、彼女が言うには体の変化は、まるでぬいぐるみの綿を新しく詰め直した感じがするそうです。内側からもちもちするようなそんな感覚なのだと言っていました。

私はこれの他に額に暖かいオイルを垂らすshirodhara(シローダーラ)を7日間、背骨に沿って暖かいオイルを浸したガーゼを湿布するtailapatti(タイラパッティ)を7日間、腰に小麦粉を練って作った生地で丸い土手を作ってそこに暖かいオイルを浸すkathi basti(カティバスティ)を7日間受けました。これはサダナンダ先生が脈診で私の体にコリがあると判断されたためです。

ヨガでも背骨はとても重要なエネルギーの流れている場所で、今回初めてタイラパッティを受けましたが、2回目の施術が終わって部屋に戻ったら、なんとも言えない幸福感というか内側から沸き起こる充足感を感じました。ヨガの練習がきっちり受けられた後の充足感とも通じます。カティバスティもタイラパッティも基本的には暖かいオイルにつかるだけの処置ですが、このオイルの薬効が皮膚から吸収されることで体内で勝手に仕事をしてくれます。それがどうしてこの幸福感につながるのか、先人がこういう知恵を残してくれていることに驚くばかりです。

私の場合は事前の脈診で基礎疾患はないと判断を受けていて、健康を一段階引き上げるためのトリートメントとなりましたが、更年期による熱が高すぎて体の中が乾燥しているので、それに対応するバスティが中心の治療となりました。患者さんによってはヴィレーチャナもしくはヴァマナという処置で悪化したドーシャを排出します。この場合は実際の治療日の前後で食養生も入りますのでトリートメント自体がお休みになることもあります。

トリートメント計画は最初のサダナンダ先生との回診で決まりますが、患者さんの体調によっても細かい計画は変更されていきます。サダナンダ先生は折をみて回診にいらしてくださって、患者さんの様子や治療の方針を確認してくれるので安心して治療に専念できます。(続)

【ワゴリ通信8】

2019.9.22

21日間のパンチャカルマ治療と予備日を加えて4週間ぶりに帰国しました。確か前回は日本の景色に馴染めずに変な感覚があったのですが、今回はすんなり普段の生活に戻りました。変化を受け入れやすくなったのでしょうか。家族4人が1つのバイクに乗っているインドの風景を懐かしく思いますが。

アーユルヴェーダの古典であるチャラカサンヒター9章には「医者、治療薬、看護人、患者。この4本柱が必要な性質を供えていれば、病気を治すことができる」と書かれています。今回の滞在中はこれを何度となく思い出しました。

ワゴリのBSDTアーユルヴェーダ病院では、医者がしっかりとした治療計画を立て、そこに良い薬があり、看護人がきっちりと見守ってくれています。そうすると後必要なのは我々が良い患者になれば良いわけです。医者の診断に信頼をおき、闇雲に不安がるのではなくリラックスを覚え、自分の食欲に従って食事をすることです。

薬を飲んだからといってその効果はすぐには出ないかもしれない、他の患者さんと自分の体調を比べて卑下しても、日本とインドの治療を比較しても意味ありません。せっかく日本の日常生活をストップさせてインドまで治療に来ているのですから、全てを受け入れてみる、新しいことにチャレンジする心意気を持つことが重要なのだと感じました。

私は他のアーユルヴェーダ施設を知りません。他施設はもっと綺麗でお湯がふんだんに使えたり食事も美味しいのかもしれません。しかし、ワゴリの広大な緑の敷地と鳥のさえずり、牛が放牧されている日常風景と土地が持っているエネルギーは説明し難いパワーがあります。もしもこれからここに治療に来ることを検討されているならば、是非とも身を任せて良い患者になって欲しいと思います。それがパンチャカルマ中だけではなく、帰国後の生活も変えていく第一歩になるはずです。

帰国後は自分の責任で体を維持しなくてはなりません。私は3週間治療していましたので、帰国後も3週間を目安に消化力を育てていきます。簡単に食事を済ませるのではなく、何をどう食べたら消化に負担をかけずに栄養を取れるのか、病院に滞在中に食べていた食事を思い出しながら試行錯誤していきます。良い患者であることは、帰国後も続きます。神様がお住いの自分の体をメンテナンスすることは生涯続く大切なお仕事です。(終)

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