チベット伝統医学の薬剤研究

赤と紺のデザインがシブイ!シンプルで骨太な学究本

ついに届きました!「チベット伝統医学の薬剤研究」という本です。

私がもっている本の中では3番目に高価でしたが、なにするものぞ!

しばらく昼はソーメンにすればいいだけです。笑

友人の家で、赤と紺の品のいい装丁に一目惚れして注文しましたが、やはり手にとって細部までみると、値段以上の価値がきっちりと詰まった、筋のピシッと通ったよい本でした。

なによりも、チベットへの熱い愛と、しっかりした学識に裏打ちされた、高い志が感じられます。

チベット医学の歴史、薬剤とその効能、医学絵画についての解説のあとに、薬剤の学名比定リストがついているのですが、これが本当にいい出来です。学名は属名までに留め、掲載されている古典書ごとに、それと思われる学名の下の部分が書かれていて、余計な混乱がないようにスッキリとまとめられています。これだけ調べるのがどれだけ大変だったことか…。古典書の中の植物の同定は本当に骨が折れるのです。

さらに、四部医典の翻訳の部分では、基本となったアーユルヴェーダの古典書との齟齬がある箇所には、丁寧に、その旨の註釈まで入っていました。基本である古典書アシュタンガフリダヤサンヒターをきちんと読み込んでいなければ、齟齬があることなど気付かない箇所です。

どれも、後世にこの本を手にとる人のために、深く考えられた仕事ですが、さりげなく、当たり前のように配慮が行き届いており、この本のどの部分も、一行のムダもなくまとめられているのです。エゴのある人には出来ないな、こういう仕事は…と、思って、これを作った人のことをものすごく知りたくなりました。主筆の石浜さんという方のブログを検索したら、オカメインコとチベットへの愛情がすごい!笑

ハメられた?(笑) チベット医学研究会の発足式

そして、この本の最後に、ようやくこの本が作られた経緯が書かれていました。1970年代の終わりごろ、二人の先生がチベット医学の研究をしようとして、大学者のもとで、まずチベット語の勉強からはじめられます。ここがまずエライ!

そして、チベット医学に興味をもつ人をあつめてくれという大学者の声に4人の方が参集すると、その部屋にはもう「チベット医学研究会発足式」という紙が貼られていたのだとか!笑 この研究会の方々による翻訳作業がはじまり、長い年月をかけてこの本の原型が編まれていきます。

本に華やかさを添えているチベット本草図譜は、東本願寺の僧、寺本婉雅が20世紀の初頭に北京のチベット僧院で入手したものだそうで、川口慧海とか、大谷探検隊とか、この時代の日本のお坊さん達のアジアでの活躍は胸躍るものがあります。

この図譜の写本も、それを訳したこの本も、どちらも紙で出来た宝です。100年経っても役に立つ紙でできた宝石。

こういう仕事をみると、心が引き締まります。私はアーユルヴェーダの世界にナニが残せるだろうか?と。

今年は、「3日で般若心経が読める!10時間でマスターするサンスクリット語」のテキストと、ディナチャリヤの役にたつ古典書「ヨーガラトナーカラ」の翻訳本を必ず世に出そうと思います。

もう原稿は出来ておりますので、ご興味のある出版社の方はご連絡ください。(←まずはここから….^^

正月からいいもの見たなあ〜!